自分の言葉で働く人に影響を与えていきたいー難波 猛さん(人事コンサルタント)インタビュー

早稲田大学卒業後、株式会社PHP研究所、株式会社太陽企画を経てマンパワーグループ株式会社にて人事コンサルタントとして活躍中の難波 猛さん。

『「働かないおじさん問題」のトリセツ』など話題の著書を執筆し、キャリアや働き方に関する発信を続け、メディアにもご出演されていらっしゃいます。

今回は人事コンサルタントになるまでの経緯からキャリアに迷った方へのアドバイスまで、オンラインでインタビューさせていただきました。
目次

やりたいことを仕事にするまで

新卒で出版社に入社し、その後求人広告を扱う代理店に転職しました。

2007年に現在のマンパワーグループ株式会社に転職して人事コンサルタントとして活動を始め、2024年で17年目になります。

いろんな偶然が重なって現在のキャリアにたどり着きました。キャリア理論では「計画的偶発性理論1」という表現をします。

私は最初から人事関係に興味があったわけではなく、新卒のときにはマスコミ関係の会社を希望しておりました。

自分の言葉で何かを発信したくて出版社に勤務を始めましたが、営業職であったため、なかなか難しい状況があり、転職を決意しました。

インタビュー記事や自分の記事を書きたいと考えて広告代理店に転職し、人事担当者や経営者さまに直接インタビューをしながら文章にするという仕事ができるようになりました。

そのなかで企業の人事担当者と話す機会が増え、実際に採用した方の活躍する姿を目の当たりにし、人事の世界に興味を持つようになりました。

広告会社で人事部を作り、数年の経験を積ませていただいた後、人事コンサルタントとして

仕事を始め、自分の言葉でメッセージを伝えられるようになりました。

新卒で勤め始めたときは自分の言葉で発信したいという想いは叶いませんでしたが、周り回って当初の希望を叶えています。

人事コンサルタントとしてのやりがい

人事コンサルタントとして、お手伝いしている会社の社員さんたちの行動が変わるのがなにより嬉しいです。

たとえば、面と向かって会話すらできなかった上司と部下の関係性が変化して向き合えるようになった、組織として健全な企業文化ができたといった例があります。

くすぶっていた中高年の方が、私の本を読んだり研修を聞いたりすることで自分を見つめ直して納得できる働き方に変わりましたといったコメントを聞くと、嬉しいですよね。

コンサルタントとしての仕事だけではなく、自分でも伝えたいことを発信し、より多くの方に届けられる今の状態はベストだと考えています。

自分の言葉で発信することで人の行動が変わったり、意識に変化が起こったりするのを実感できるのが何よりのやりがいです。

会社もやりたいことをサポートしてくれているので、ありがたいですね。

納得できる仕事をしたい

私がビジネスにおいて大事にしているのは、自分が納得できない仕事はしないということです。

自分の成長につながらない、ワクワクしない仕事は原則的にお断りするように選択しています。

たとえば事務作業はスタッフに任せて、自分の腕を磨いたりつながりを広げたり、より多くの方に影響を与えられる仕事を優先的に行っています。

私の優先順位が全員に勧められるかというと微妙ではありますが、自分の中では明確なポリシーを設けております。

働く人に影響を与え続けたいというのが私の中のパーパス2となっているのです。

キャリアに迷ったときは

ご自身のキャリアに迷ったときには、表面的にやりたい仕事ではなく本当の自分の理想を考えてみましょう。

キャリア理論では「Will3」と言いますが、自分のやりたいこと、ありたい姿がおぼろげでも見えてくると、自分の向かうべき場所を判断しやすくなります。

私は新卒で出版社に勤務しましたが、編集者になるのが目標ではなく「自分の言葉で人に影響を与えたい」というのが最終的にやりたいこと、ありたい姿でした。

ご自分のやりたいことが分からない場合には、「過去」「現在」「未来」で確認することをおすすめしています。

・これまでの人生や仕事だけでなく学生時代に嬉しかったことは何か。
・今の仕事やプライベートで満足感、充実感を感じる事は何か。
・将来どういう状態にであれたら嬉しいのか、どういう人であれたら嬉しいのか。
・ロールモデルにしたい人のどんな部分を見習いたいのか。

過去にやってきたこと、現在やっていること、将来ありたい状態の観点という3つの観点から自分に質問をしてみると、なりたい自分像の輪郭がつかめてきますよ。

自分がどんな自分になりたいかを見つめ直す方法としては、キャリアの棚卸として書き起こす、キャリアカウンセリングで相談してみるの2つが良いでしょう。

特に人と話すのは、価値観の違いに気付きやすいという利点があります。

私のように書く仕事ひとつ取っても、想いを遠くまで届けたい人もいれば、身近な人に伝えたい人もいます。やっていることは同じであっても、理想は人それぞれです。

人と話すことで自分との違いを感じて、自分が大切にしている基準が分かることも。

キャリア観について話してみると、自分がこだわりたいことや捨てたくないことが分かってくる場合があります。

どんな方法であっても、自分自身を振り返り見つめ直す機会をじっくり持つことが大事です。

コミュニケーションに悩むすべての方へ

仕事をしていくうえで、周りとうまくコミュニケーションを取り、お互いのニーズをすり合わせる作業は重要です。

年齢に関わらずギャップが出てしまっている上司と部下の関係をどうやって埋めていくのか、フィードバックに関する本を現在執筆中です。

上司から部下へのギャップを埋めるコミュニケーションがメインですが、部下から上司に対して建設的に交渉する方法やコミュニティの中で問題が発生した場合の対処法などもお伝えする予定です。

心を落ち着かせて、イライラせずに発生しているギャップをいかに埋めるかを理解できる本になりますので、会社だけではなく家庭や友人関係など、シーンを選ばず参考になると思います。

ご興味がある方はぜひお手に取ってみてください。

コミュニケーションのギャップの埋め方をテーマにした難波 猛さんの新刊「ネガティブフィードバック」は2024年2月1日出版予定です。

https://www.amazon.co.jp/~/e/B087D5PFQY
  1. キャリアに関する行動理論のひとつ。個人のキャリアは偶然の出来事の積み重ねによって決定され、偶然をチャンスと捉え活かすことでキャリアを良くしていく考え方。 ↩︎
  2. 目的や存在意義 ↩︎
  3. Will-Can-Must理論、キャリアプランを設計する際に使われるフレームワーク。
    Must:果たすべき役割、Can:果たせる役割、Will:果たしたい役割。
    ↩︎
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